飛び込むだけの無駄訪問
- 5月10日
- 読了時間: 7分
おはようございます。FukushiVisionGroup株式会社の塚本です。
「地域連携」について書き始めて数週間。
さらに、地域連携マーケティングを広めたいのですが、この超ニッチな分野、果たしてどれだけ必要とされているのかはわかりません。
とはいえ、医療・介護・福祉業界の地域連携マーケティングについて、より深く知ってもらいたいという思いから、『地域連携マーケティングtv.』というYoutubeチャンネルを始めました。
不慣れなもので、まだ始めたばかりですが、興味ある方はぜひチャンネル登録とコメントをよろしくお願いいたします。
Youtubeチャンネル
地域連携マーケティングtv
さて、本日のテーマは「やってはいけない地域連携」を”THE 地域連携力"から抜粋し、解説いたします。
地域連携を成功するための秘訣というものは、複合的な要素が絡み合い、常に不確実性を伴います。
環境や状況、活動する人によっては再現性が低くなる場合があります。
そのため、ここでは地域連携マーケティングの「成功するための方法」を示すのではなく、「失敗しないための地域連携活動におけるNG行動」について、紹介いたします。
ここでお伝えする内容は、決して机上の空論ではありません。
私自身がこれまで現場で実際に経験してきた事例をもとに、ルールとして整理したものです。これをやらなければ絶対に失敗しない、という万能な方法が存在するわけではありません。
しかし、失敗している多くの経営者に共通して見られる行動や思考パターンがあるのも、また事実です。
これから紹介する「やってはいけない地域連携」は、経営者の方からすれば、「本当にそれがNGなのか」と疑問に感じる内容も含まれているかもしれません。
また、人によっては、すでにその行動を取り、実際に失敗を経験している方もいるでしょう。
私がこれから伝えることは、文字面だけで完全に理解するのが難しいと断言します。
なぜなら、その真意や背景を、すべて言葉として書き尽くすことが難しいからです。
私たちのようなコンサルタントが本領を発揮する場面は、常に「現場」であり、机上の理論だけでは決して成り立ちません。
さらに、地域連携におけるNG行動というのは、経営者や事業所ごとに多種多様であり、状況によっては、ある行動がNGではなくなる場合もあります。
変化に乏しいと言われがちな医療・介護・福祉業界であっても、「今は正しい」とされていることが、数年後には間違いになっていることも珍しくありません。
だからこそ、絶対的な正解として捉えるのではなく、一つの参考材料として受け止めていただき、改めて自分自身の地域連携の在り方を見直すきっかけとして活用してもらえれば幸いです。
NG行動①:飛び込むだけの無駄訪問
医療・介護・福祉業界において、「飛び込み訪問」は、しばしば地域連携における王道のスタイルとして実践されます。
しかし、その多くは慣習的、あるいは風潮的に行われているに過ぎず、明確な戦略や目的を持たないまま、「とにかく件数を稼ぐこと」自体が目的化してしまっているケースが少なくありません。
私の知る限り、一日に20件以上の飛び込み訪問を行っているにもかかわらず、問い合わせ数が微増、もしくは、まったく変化がない事業所は非常に多く存在します。
つまり、行動量、言い換えれば、飛び込み訪問に投下している人件費(時間×労力)が、結果として無駄になっているのです。
人件費を計算すると分かる”あらゆる無駄”
この一日にかかる人件費を、1か月、あるいは年間に換算して計算したことはあるでしょうか。
例えば、皆さんが訪問看護ステーションを経営していると仮定します。
訪問看護師がパートであっても、正社員であっても、1時間あたりの人件費は2,000円以上が一般的です。
一日10件の飛び込み訪問を行えば、それだけで20,000円以上の人件費が発生します。これが10日続けば、200,000円以上になります。
さらに、病院や居宅介護支援事業所を訪問したとしても、キーパーソンに会える確率はおよそ50%。
そこから適切なコミュニケーションを図り、認知度を高め、理解を得られる確率は20%程度だと仮定すると、200,000円以上の経費を支払っている行為が、いかに非効率で、無駄の多いものであるかが見えてくるはずです。
飛込み訪問は自分勝手なアプローチ
営業活動全般に共通して言えることですが、連携先の事業所を訪問するという行為は、相手の貴重な時間を奪う行為でもあります。
連携先からすれば、「こちらの都合も考えず、突然やって来るのは敬意に欠ける」と感じられても、決して不思議ではありません。
とはいえ、このような“飛び込み訪問”は、この業界において長年の慣習として根付いてきました。その結果、多くの連携先が、ある意味でこの悪しき風潮に慣れてしまっているのも事実です。
だからこそ、他の事業所と同じように、戦略なき飛び込み訪問を行った場合、印象に残るどころか、第一印象でマイナス評価を受けるリスクの方が高くなってしまうのです。
訪問では「初頭効果」を大切にする
最初の印象が、その後の評価に大きな影響を及ぼすことを、心理学では「初頭効果(Primacy Effect)」と呼びます。
例えば、訪問時に「無愛想」「態度が悪い」といった印象を持たれてしまうと、その後、どれほど丁寧に対応したとしても、その印象を覆すのは極めて困難になります。
つまり、「単純に訪問件数を重ねれば信頼関係が築ける」という考え方は、成り立たないのです。
目的や戦略を持たずに繰り返される飛び込み訪問は、成果を生まないばかりか、信頼構築の貴重な機会を失う、非常に危険な行為になりかねません。
そもそも、飛び込み訪問というのは、数分という短時間が勝負になります。
その限られた時間の中で、自事業所のサービス内容や強み、そして何よりも「利用者のために何ができるのか」という本質的な思いを、相手に的確に伝えることができるでしょうか。
それは、よほど高いプレゼンテーション能力がない限り、残念ながら、ほぼ不可能だと言わざるを得ません。
飛込み訪問で成果を上げるのは超高等技術
飛び込み訪問とは、適切なコミュニケーションを通じて相手との距離感を一気に縮め、警戒心を解き、相手を理解することから始まります。
「自分たちをどのように活用してもらうのが最も良いのか」を短時間で提示し、最終的に新規の問い合わせへと結びつけるのです。
これは、まさに“超高等技術”と言えるものです。
この技術は、豊富な経験だけで身につくものではありません。
日々の地域連携活動に対して、自らの行動を振り返り、自責の視点で省察し、仮説と修正を繰り返す中で、少しずつ会得されていくものなのです。
ケアマネジャーの特性を理解した戦略
以前、訪問マッサージ事業所を支援していた際、50代で、20年以上の営業経験を持つ担当者から、こんな質問を受けたことがあります。
「塚本さんは、どうしてチラシを1事業所につき一枚しか渡さないのですか?」と。
これには、私なりの明確な理由があります。
一般的には、営業活動では、より多くのチラシを渡した方が良いと考えられがちですが、私からすれば、それは単なる紙の無駄であり、むしろ機会損失を生んでいる行為だと考えています。
例えば、居宅介護支援事業所にケアマネジャーが5人在籍しているとします。すると、多くの人は五枚以上のチラシを渡したくなるでしょう。
しかし、実際には、その五枚すべてが5人に行き渡る可能性は極めて低いのです。
そもそも、ケアマネジャーはそれぞれが自分の判断基準で紹介先を選定しています。
たとえ会社としてのルールがあったとしても、その意思決定は個人に委ねられているのが実情です。
私は、そうしたケアマネジャーの特性を理解しているからこそ、「誰に届けたいのか」を明確にし、その一人に向けて想いを込めて、一枚のチラシを丁寧にクリアファイルに入れて手渡します。
無造作に5枚を渡すよりも、丁寧に包装されたひとつの資料の方が、相手の記憶や印象に残りやすいと考えているからです。
その結果、大多数の事業所が行う雑な営業スタイルから一線を画し、より丁寧で誠実な印象を与えることができます。
こうした一見すると些細な行動や、背景にある心理的な考え方は、日頃から地域連携を意識し、創意工夫を重ねていなければ、決して身につくものではありません。
【次 回】デザイン性の高いチラシを量産配布することはダメ!
人間臭さが最も重宝されるのが医療・介護・福祉業界の特徴です。
FukushiVisionGroup株式会社
医療・介護・福祉経営コンサルティング
代表取締役 塚本洋介
(社会福祉士/福祉マネジメント修士)

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