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「経営」と「運営」の役割の違い

10月19日
読了時間: 4分




1.経営と運営の「溝」


よく混同されがちな「経営」と「運営」には、似て非なる明確な違いが存在します。



私は常々、組織論は役割理論であると考えていますが、その核心の一つが、この経営と運営の違いを明確にし、役割の混線によって生じる組織課題を解消することにあります。



役割認識に誤解があれば、役割は正しく遂行されず、対人関係は悪化し、さまざまな問題が噴出します。



特に、経営と現場の間には、容易には埋まらない「溝」が存在します。


そして、この溝は力ずくで埋めようとするほど、かえって深まる傾向があります。


現場からは「経営者は現場を知らない」という不満が上がり、経営側からは「現場は経営を分かっていない」と反論が返ってくる。



この水掛け論は、一見すると対立しているようでいて、実は双方とも本質を外しています。




2.経営者が抱える「危機感」


現場が経営を十分に理解できないのは、ある意味で当然です。


経営を実際に担った経験がなければ、求められる視点・視野・視座は体感できません。


特に経営者が抱える「危機感」は、身体全体が震えるような切迫感を伴いますが、こういった感覚についても知る由もないと思います。


一方で、「経営者は現場を知らない」という主張にも限界があります。



現場にも多様な文脈があり、例えば病院において医師が経営者である場合、看護部からは「看護現場を知らない」という声が上がることがあります。



しかし同時に、医師が背負う「命の最終責任」の重みは、看護師とは異なる次元に存在しています。


問題は、「知っているか・知らないか」の優劣ではありません。各自が、自らの役割をどれだけ認識し、果たしているかにあります。



「経営」と「運営」という二つのフィールドの中で、自分がどこに位置しているのかを自己認識できていれば、多くの衝突は未然に防ぐことができます。




3.経営の役割は資源配分と意思決定


ここで、私なりに「経営」と「運営」を整理しておきます。


経営は英語で management。語源はイタリア語の maneggiare(馬を手綱で扱う)にあり、さらにラテン語の manus(手)に由来します。


すなわち、「人・モノ・金・情報」といった資源を扱い、方向づけ、組織を成長・発展させていく営みです。



現代では「マネジメント」という言葉が、運営現場の業務管理を指して使われることも増えていますが、本来はより上位の概念です。



一方、運営は operation。語源はラテン語の operari(働く・作業する)に由来し、日々の実行・提供・生産活動そのものを担います。



医療・介護・福祉の文脈でいえば、利用者・患者という顧客に最も近い場所で価値を生み出すのが運営です。



この違いを現場に落とし込むと、経営は「資源配分と意思決定」、運営は「価値提供の実行」と言い換えることができます。



4.経営者の責務。現場の責務。



経営側は顧客接点から相対的に遠く、運営側は最も近い位置にあります。


専門職が利用者支援を担っている時点で、その人は運営の最前線にいるのです。


もちろん、経営者が現場を理解しようとする努力は重要です。


しかし、現場が経営者を自分たちの役割範囲へ引き込み、優位性を取ろうとすることには意味がありません。



経営者には経営の責務があり、現場職には現場の責務がある。



役割を分けるのは上下関係を作るためではなく、専門性を最適に配置し、組織を円滑に機能させるためです。



一人では達成できない課題を、役割の集合体として乗り越えていく―それが組織の本質です。


経営と現場の対立を解消する第一歩は、互いの領域を奪い合うことではなく、まず自分の役割を果たすこと。



そのうえで、両者をつなぐ対話の機会を設計し、歩み寄る意思を持つことです。






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プロフィール


FukushiVisionGroup株式会社

医療・介護・福祉経営コンサルティング

塚本洋介(社会福祉士・福祉マネジメント修士)

千葉商科大学商経学部経済学科卒業

日本社会事業大学専門職大学院福祉マネジメント研究科修了


公式YouTubeチャンネル「福祉経営コンサルの豆知識」














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