人材教育と人材育成‐はじめに
- 4月17日
- 読了時間: 4分
人材教育と人材育成――なぜ今、このテーマなのか
今回、四作目となる本書では、「人材教育」と「人材育成」をテーマに据えました。
医療・介護・福祉という現場において、医療分野、介護分野、そして児童・障害福祉分野まで、幅広く応用できる考え方と手法を、できるだけわかりやすく整理しています。
そもそも、なぜこのテーマを書こうと思ったのか。
答えはシンプルです。世の中は、結局「人」で動いているからです。
そして、日本は今、少子高齢化という避けられない現実の中にあります。その中で、医療・介護・福祉業界にとって最も重要な経営課題は何かと問われれば、私は迷わず「人」と答えます。
どの組織にも必ずある「人」の課題
私は現在、FukushiVisionGroup株式会社の代表として、医療・介護・福祉業界に特化した経営コンサルティングを行っています。
2019年に独立してから7年目。多くの仲間やお客様に支えられながら、事業を継続してきました。
その中で強く感じていることがあります。
それは、どの組織でも必ず「人」の問題が存在するということです。
組織の課題は、突き詰めればすべて人に起因します。仕組みや制度の問題に見えても、その裏側には必ず人の思考や感情、関係性が存在しています。
私はこれまでの著書で、組織は「構造」や「仕組み」が重要だと述べてきました。
しかし、それだけでは不十分です。そこに関わる人の感情への配慮がなければ、組織は機能しません。
人は複雑で、だからこそ可能性がある
人間という存在は、とても複雑です。
感情があり、欲があり、ときには矛盾した行動も取る。しかし同時に、これほど大きな可能性を持つ存在も他にはありません。
長い歴史の中で、多くの生物が絶滅していく中、人類だけが知的生物として発展してきたこと自体が、ある意味で奇跡です。
その奇跡の積み重ねが、今の社会をつくっています。
だからこそ私は、人の力の偉大さを信じています。
小さな組織だからこそ見える本質
とはいえ、私自身が大規模な組織を率いてきたわけではありません。現在の会社も、正社員・パートを含めて数名規模です。
そのため、数十名、数百名規模の組織を運営している方からすれば、「その規模で本質が分かるのか」と思われるかもしれません。
それでも、これまでの経験から一つ確信していることがあります。
それは、人を育て、成果につなげるためには「主観」と「客観」の両方が必要であるということです。
どれだけ人数が多くても、全員が機能している組織はほとんどありません。100人いれば、少なくとも2割は機能していない。そして、その2割を入れ替えても、また新たな2割が生まれる。
この構造は放置すれば、確実に組織を内側から蝕んでいきます。
医療現場で起きていることの本質
最近では、医療現場において看護職を中心に、処遇改善や労働環境の見直しを求める動きが強まっています。ストライキや改善運動も珍しくなくなってきました。
これを単なる労働問題として捉えるのは、本質を見誤ります。
私はこれを、組織構造の問題だと考えています。
病院は、一言で言えば「個人商店の集合体」です。医師、看護部、リハビリ、事務、地域連携室など、それぞれが異なる文化と価値観を持ち、独自のルールで動いています。
その結果、・視点の違い・価値観の違い・役割認識のズレが衝突を生みやすい構造になっています。
さらに厄介なのは、最終的な意思決定者が曖昧なまま放置されているケースが多いことです。これが現場の混乱や不満を増幅させていきます。
教育と育成の本質は「関係性」にある
人に教えること。人を育てること。これは、突き詰めれば人と人とのコミュニケーションです。
そして、その土台になるのが「信頼関係」です。
どれだけ正しいことを伝えても、信頼関係がなければ伝わりません。逆に、多少不完全でも、信頼関係があれば人は動きます。
私自身も、過去に信頼していたパートナーとの間でトラブルを経験しました。
信頼している“つもり”でも、それが一方通行であれば関係は成立しません。
そして厄介なことに、その一方通行にすら気づけないことがあるのです。
人を理解し、組織で活かすということ
人は、ときに欲に流され、自分を正当化しながら生きる存在です。しかし、それもまた人間の本質の一部です。
だからこそ重要なのは、人を否定することではなく、理解することです。
その上で、適切な方向へ導き、組織の中で力を発揮できる状態をつくる。
それができて初めて、組織は機能し、成果につながります。
だからこそ「人材教育」と「人材育成」
人が中心の業界において、人をどう育てるか。これは単なる人事施策ではなく、経営そのものです。
だからこそ私は、今回の本で「人材教育」と「人材育成」というテーマを選びました。
このテーマは、決してきれいごとではありません。
現場のリアルと向き合い続けた結果として、たどり着いた答えです。
この一冊が、現場で悩む方々にとって、少しでもヒントや気づきにつながれば嬉しく思います。
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