おはようございます。
医療・介護・福祉経営コンサルティング Fukushi Vision Group株式会社(フクシビジョングループ)の塚本です。
本日は『訪問看護ステーションにおける管理者教育の方法』について解説していきます。
ここでは、管理者の定義を勝手に定めることはせず、基本的には管理者のやるべきことを組織の中で言語化はできていない状況で、かつ相互理解までは行き届いていないと設定します。
訪問看護ステーションに関わらず、訪問介護、障害者グループホーム、訪問医療マッサージ、老人保健施設、特別養護老人ホーム、病院も含めて届出が必要な"施設"においては「管理者」登録が必要となります。
ここで切り分けておきたいのが、法律として管理者登録をすることと、その施設の中で管理者の役割を担うことは必ずしも一致しないということです。
つまり、管理者登録をしたからといって、管理者業務を行うかどうかは実際の運営方法をどのように決定するかということになります。
以前、茨城県の訪問看護ステーションにおいて、こんな事例がありました。
開業して6カ月程度の訪問看護ステーション。そこは登録上は2.5を満たしてはいましたが、実際にシフトに入っているのは管理者1名(0.5人)だけでした。この管理者は訪問看護の経験はなく、過去に介護系施設の看護師として経験はある状況。
これはルール違反という事で、急いで看護師を採用した結果60代のベテラン看護師を採用することができたのですが、ここで問題となったのがどちらが管理者にふさわしいか?ということでした。
経験だけみると、採用したばかりの60代看護師ですが、経験豊富だからこそのおごり、プライドの高さ、自分路線、自己主張が激しい性格は、実は後に記載する提案の後に発覚したことなのですが、これは非常に大変でした。
反対に元々の管理者は、管理者を降りたい・・と要望していましたが、未経験だからこそ素直であり、利用者さんにも丁寧に対応できる方でした。
さて、皆さんが経営者ならどちらを選択しますか?
コンサルタントとしての助言と提案は「元々の管理者の登録は据え置き、組織の中での役割として60代看護師を一旦所長に配置する」という内容です。
つまり、この訪問看護ステーションの状況を踏まえると、ベテラン看護師に事業所をけん引してほしいのが本心ですが、ベテラン看護師の素性が分からない為、管理者の地位を正式に与えた後に、様々な問題が勃発した場合、取り返しのつかないことになると考えたからです。
私は、どんなに経験豊富な人材でも、やはり「素直ないい人」が選考基準の1丁目1番地ではないかと思いますので、統計的にもベテラン過ぎる看護師に素直性がある人は少なく、経験におぼれている自己中が多いことを考えると、最善策だと思いました。
案の定、アメリカ陰謀論、輸入した健康食品を利用者に販売、仕事中に業務以外のことを行うなど、本当にひどい結果でした。
管理者登録を避けたのは、結果的には良かったですが、そもそも一時的にも所長というポジションすら与えない方が無難でした。
長くなってしまいましたが、このように考えると管理者教育とは何なのか?と改めて考えさせられます。
この事例からも分かる通り、登録上の管理者ではなく、陣頭指揮をする実務上の管理者(所長)には、2つの要素が必要ではないかと考えます。
1.性質(その人の人間性・性格性)
・・・これまでの経験や価値観に捕らわれずに素直で誠実であるか。つまり一言でいうなら「いい人」かどうか、嘘をつかないということ。
2.経験(訪問看護の現場経験)
・・・豊富な現場経験を持ち、利用者の個々の状況や特性に合わせて対応する技術力、そして適切に旗を振れる判断力があるかということ。
このほかに、管理者としての管理能力などの管理テクニックが求められる場合もありますが、管理者となる人物の根本的要素については、この2つが備わっていれば運営面は安心して任せられると思います。
ここから、この2つの要素を教育・育成するためにはどのようにするか考えていきます。
まず性質については、その人が認識しているか否かに関わらず持っているものですから、正直180℃変化させることはできません。
他人を変えることは中々難しいということですね。
しかし、本人自ら課題に気づき変える必要があると認識させることはできるはずです。
それが外部セミナー、読書、他者の意見を聴くなどの機会です。
こういった機会を自ら仕事の休みに"勝手にやってください"では、結局変わることはできませんので、一つの提案としては、これらの機会を「業務の中に組み込む」ことです。
管理者には管理者としての意識・責任・覚悟の3つの非物理的な要素を育むことが最も重要です。これらが、本人の性質と密接であればあるほど、組織運営は機能します。
危機感を煽り行動変容できる機会を会社として与えてあげてください。
2つめに経験です。経験は経験するしかありません。つまりは時間と労働量です。
長い間、訪問看護師として勤務していても1年間様々なケースに携わる機会を得たものには劣る可能性は十分あります。
"長く働いた"から経験豊富というのは理屈になっていませんよね。
私も、介護付有料老人ホームで入居相談員をしていたとき、困難事例こそ積極的に対応してきました。そして、他の人の3倍以上は働き、様々な事例を経験することができました。
そのおかげで、医療知識・介護知識・後見人等の幅広い知識を得る事もでき、多少の物事には動じないようになりました。
時間ではなく、量をこなすと質に転換されますので、その過程の中で何が最善策なのか状況に合わせてジャッジ(判断)できる力というのは管理者として、持つべき能力だと思います。
これらを育むには、多くの事例、多くの困難事例、そして失敗も成功も含めて「体験」を内省化することで『経験』に変わると考えています。
いかがでしょうか。訪問看護ステーションにかかわらず、管理者はどこにでも必要です。役職だけ与える事には意味がありませんから、ぜひ”多くの経験”と”自己学習”の機会を与え、会社と一緒に成長できるといいですね。
それでは、今日も一日がんばりましょう!
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FukushiVisionGroup株式会社 医療・介護・福祉経営コンサルティング
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