おはようございます。
医療・介護・福祉経営コンサルティング Fukushi Vision Group株式会社の塚本です。
本日は、リハビリ職で必要なのはテクニカル技法ではなく『コミュニケーション能力』であるというお話をします。
先日、とある訪問リハビリテーションの支援をしている中で最近の状況を伺ったところ、リハビリスタッフが利用者からのクレームがありました。
そのクレームは、簡単に言えば、リハビリスタッフと利用者とのコミュニケーションエラーによる交代依頼でした。
その件に関して、リハビリスタッフの責任者が言ったのは「利用者さん癖が強いですからね」です。
これだけでは情報不足でありますが、確かに利用者には癖が強い方が多いのも事実です。ですからこれが嘘であると言っているわけではなく、こういうことが日常茶飯事であるならば、果たして「利用者の責任だ」と言い放って終わってしまってもいいのでしょうか。
最近、特に考えることがあります。
病院と在宅では、求められる『支援の質』に大きな違いがあるのでは?ということです。
訪問看護も訪問リハビリも、それこそ訪問介護も詰まるところ『職人』なのです。医療・介護・福祉業界においては、ドクターが最たる職人かもしれません。
しかし、この「職人」でいられるのは、働く環境によるのではないのでしょうか。
つまり、職人という役割が求められるのは、看護、リハビリ、ドクターに関しては「病院」であり、地域で支援する立場になると職人ではなく支援者に変わるということです。
近年では、病院勤務から在宅に進出する看護師、リハビリ職、医師が多く、在宅支援サービスを開業されますが、支援者ではなく職人のままな気がしています。
最たるものであるドクターが、例えば在宅クリニックを開業するとき、地域で求められるのは高度な手術でしょうか?
病院では、特に急性期では外科医は手術をこなし、命を救うことが役割として与えられていますが、それは急性期病院という性質が、役割を定める環境をつくっているのだと考えられます。
以前、私は介護付有料老人ホームで働いていました。
その際、施設は往診医と連携することも多く、往診医に関する評判もたくさん聞きました。
これは訪問歯科も含めてですが、どんなに治療技術、検査技術に長けた医師でも、なぜだか利用者からクレームをもらってしまうのです。
その理由としては、いくつか共通するものがありました。
・診察時間が短い
・会話が少ない
・なんとなく冷たい
・機械的である
つまり、きっと技術は高いのだけども、技術を発揮していて利用者にとって良い効果があったとしても「コミュニケーション能力」が不足していると、結果的にクレームに繋がってしまうのです。
これは、病院と在宅の大きな違いを表しています。
病院であれば、急性期や回復期は入院期間の定めが明確であり、かつ一時的という性質がありますが、在宅の場合、継続的であり、治療ではなく生活という性質があります。
さらには、入院は患者が病院という自分以外のフィールドに入ることになりますが、在宅は自分の住まいに看護師、リハビリ、ドクターが立ち入ることから、患者から"サービス利用者"に変化し、意識は顧客感覚に近いものがあるのではないかと思うのです。
本来、訪問看護、訪問診療、訪問リハビリで働く人たちは、それぞれの技を発揮する「職人」ですが、顧客感覚をもった利用者との関りを考えると、職人の技術を生かす支援者の姿が必要なのではないでしょうか。
私は看護もリハビリもできませんが、支援者が支援するという事は、何らかの短期目標と長期目標が設定されるのは知っています。
目標は、達成するために設定するのですから、達成できるように努力するのは相互協力が必要となります。
つまり、支援者一人で何とかすることはできず、しっかりと利用者自身が行動する必要があるということです。
今回の例で言えば、利用者のリハビリテーション目的は、なんらかの身体的治療・回復です。
しかし、卓越したリハビリテーション技術を持っていても、利用者がその気にならなければ目的は達成することができません。
卓越したリハビリ―テーション技術をもっていても、利用者の気持ちを動かせなければ意味がないのです。
そう考えると、例えば最新のリハビリテーション技術、看護師としての処置技術が10段階のうち10だとしても、コミュニケーション技術が0の場合、結果は0になってしまいます。
つまり専門的技術はコミュニケーションによって生かされると考えることができます。
おまけですが、「コミュニケーション」という曖昧な表現について因数分解をしていきます。
コミュニケーションというのは2つあります。
・言語的コミュニケーション
・非言語的コミュニケーション
能力というのは「力を扱う」ことを意味しますから、これら2つのコミュニケーションを扱える力が「コミュニケーション能力」ということになります。
さて、ここで最後に、職人ではなく支援者として成果を出すための定義を稲盛和夫風に定義したいと思います。
稲盛和夫の定義では、仕事の成果を出すためには
『能力×熱意×考え方』であるとしています。
支援者で仕事の成果を出すためには
『能力(職人技×コミュニケーション技術)×熱意』とします。
稲盛和夫の定義では、考え方が最も重要ではありますが、支援者として成果を出すためには、すべてが最も重要だと思います。
ただし、職人技は満点でなくてもいい、コミュニケーション技術が優れていれば在宅支援における利用者満足度は高くなるからです。
それでは。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
FukushiVisionGroup株式会社 医療・介護・福祉経営コンサルティング
1.営業の右腕(営業支援)
2.人事の左腕(人材支援)
3.組織の知恵(組織強化支援)
ご相談はこちら↓
070-1527-2565
Comentarios